こんにちは。愛知県豊橋市にある三宅歯科医院です。
「MFTとは?」「舌の正しい位置はどこ?」と疑問を持っている患者さまもいるでしょう。意識していない方も多いですが、舌の正しい位置が身体の健康に大きく関わっていることをご存じでしょうか。
MFT(口腔筋機能療法)は、舌を正しい位置に戻すことで、噛み合わせや顔の形、呼吸方法まで改善できるトレーニングです。舌の位置が不正確だと口周りのさまざまなトラブルを引き起こすため、MFTを取り入れて改善します。
この記事では、MFTとは何か、どんな効果が期待できるのかを詳しく解説します。実際に自宅でできるトレーニング方法も紹介します。
目次
MFT(口腔筋機能療法)とは
MFT(口腔筋機能療法)とは、Oral Myofunctional Therapyの略で、舌や口の周りの筋肉を正しく動かす方法を学び、習慣化するトレーニングです。この療法では、口内の状態によっては矯正装置を使わずに不正咬合の改善が期待できます。
また、矯正治療と併用すれば、治療効果を高めることも可能です。正しい口腔機能を習得することで、歯並びや口元の健康をサポートできます。
MFT(口腔筋機能療法)のメリット
MFT(口腔筋機能療法)のメリットは、以下のとおりです。
矯正治療がスムーズに進む
矯正治療前に、MFTで舌や口腔周りの筋肉を正しく動かす訓練を行えば、歯並びが悪化する原因を改善できます。これにより、矯正治療がスムーズに進みやすくなるでしょう。また、治療期間の短縮や成果の安定に繋がることもあります。
正しい筋機能を身につけることで、矯正装置を使用しても無理なく調整が可能になるのです。
矯正治療後の後戻りを防ぐ
矯正治療後に歯が元の位置に戻る後戻りを防ぐためには、MFTが有効です。治療後に舌や口腔周囲の筋肉が正しい状態で習慣化していると、歯を維持するための力が安定して後戻りのリスクが減少するのです。
特に、矯正後のリテーナーと組み合わせることで、治療結果を長期的に維持できるでしょう。
咀嚼・嚥下機能の改善が期待できる
MFTを実践することで、舌の正しい使い方を学べて、口の周りの筋肉が強化されます。そのため。咀嚼(食べ物を噛む)や嚥下(飲み込む)機能が改善できます。
食事中の不快感や誤嚥のリスクが減少するので、口腔内の健康が向上します。特に、嚥下障害や食事に関する問題を抱えている患者さまには、MFTが大きな助けになります。
発音・滑舌の改善
舌や口の筋肉の正しい使い方を習得することで、発音や滑舌が改善されます。MFTによって舌の動きや口腔内の筋肉が調和し、言葉をはっきりと発音するための基盤が整うからです。
特に、子供や発音に課題がある大人に効果的でしょう。
顔全体の表現力がアップ
MFTを受けると、口周りの筋肉を効果的に使えるようになるので表情が豊かになります。顔の筋肉が正しく使われると、自然な笑顔や感情を表現しやすくなるでしょう。
MFT(口腔筋機能療法)のデメリット
MFT(口腔筋機能療法)のデメリットは、以下のとおりです。
確実に効果が出るわけではない
MFTは、筋肉のトレーニングを通じて口腔機能や歯並びを改善する方法です。矯正装置を使って物理的に歯を移動させるわけではありません。そのため、必ずしも目に見える効果が得られるとは限らないのです。
特に、歯並びや噛み合わせに関しては、効果が出にくい場合もあります。
しかし、MFTが飲み込みや発音などの機能向上に影響する可能性は十分にあり、矯正治療を補う役割を果たすこともあるでしょう。
子どもは毎日続けるのが難しいこともある
MFTのトレーニングは毎日継続することが重要ですが、お子様によっては難しいことがあります。トレーニング内容はそれほど難しくありませんが、日々の生活に取り入れるためには工夫が必要です。
歯科医院では楽しく取り組める工夫がされますが、ご家庭でもモチベーションを保ってMFTを継続できるようにしなければなりません。保護者の方のサポートが求められます。
矯正治療が必要なこともある
MFTは多くの口腔内の問題に効果を発揮しますが、自然に改善しない場合もあります。特に顎の形状に関する問題では、筋機能の向上だけでは解決が難しいことがあるのです。
このような場合には、矯正装置を使って物理的に歯や顎の位置を修正する必要があるかもしれません。MFTはあくまで補助的な方法として活用するのが理想です。
舌の正しい位置
舌の正しい位置は、舌の先端が上の前歯の裏に軽く触れ、舌全体が上顎にしっかりとついている状態です。この位置が保たれることで、歯並びや噛み合わせの改善だけでなく、全身の健康にも良い影響を与えます。
舌が上顎に触れていると鼻呼吸が促進されて、空気中のウイルスや細菌が体内に入りにくくなり、感染予防にも繋がるでしょう。
舌が正しくない位置に移動する原因
舌が正しい位置にキープできないのは、舌の筋力が低下しているためです。舌の筋力が弱くなると、顔の筋肉にも影響を及ぼして顔がたるみやすくなります。
舌は顔周りの筋肉と密接に関連しているため、舌周辺の筋力が衰えると二重顎や顔の歪みが引き起こされることもあるでしょう。このような問題を改善するためには、舌の筋肉を鍛えるトレーニングが効果的です。
舌が正しくない位置にあるリスク
舌の位置が正しくない位置にあるリスクは、以下のとおりです。
歯並びに悪影響がある
舌の位置が不適切な場合、歯並びにさまざまな悪影響を与えるリスクがあります。例えば、舌が常に前方に押されて出っ歯になったり、上下の前歯が噛み合わない開咬という状態を引き起こしたりすることがあるのです。
また、舌が上顎に正しく触れないと、歯が内側に倒れて歯列が乱れる可能性もあります。これらの問題は、舌の位置を改善することで予防・改善できる場合が多いため、舌の正しい位置を意識することが重要です。
後戻りしやすい
矯正治療で歯並びが改善された後でも、舌の位置が適切でないままだと歯に不必要な圧力がかかります。矯正治療の効果が長期間維持できず、後戻りが起きるリスクが高まるでしょう。
矯正治療の成果を持続させるためには、舌の正しい位置を習慣化することが非常に重要です。舌の位置を改善することで、治療結果を安定させて後戻りを防げます。
呼吸に影響がある
舌の位置が不適切であると、呼吸にもさまざまな悪影響を及ぼします。舌が下がった位置にあると口が開きやすくなり、口呼吸が習慣化しやすいです。
口呼吸は、虫歯や歯周病、口臭の原因となるだけでなく、睡眠時無呼吸症候群(SAS)を引き起こすリスクも高めます。
また、舌が下がることで気道が圧迫されて鼻呼吸がしにくくなるため、酸素摂取量が減少します。この状態が続くと、全身の健康や睡眠の質に悪影響を与えることになります。
舌を正しい位置に保つのは、健康な呼吸を維持するために非常に重要です。
MFT(口腔筋機能療法)のやり方
MFT(口腔筋機能療法)のやり方はいくつかあります。代表的なものは、以下のとおりです。
スポット
このトレーニングは、飲み込む際やリラックスしているとき(口を閉じている状態)に、舌の正しい位置を保つ目的で行います。姿勢を正して鏡を見ながら実施しましょう。
まず、割り箸やアイスの棒などを用意してください。割り箸などで、上の前歯の裏側、舌先が触れる正しい位置(スポット)を5秒間押します。棒を外した後は、舌先をその位置に保って5秒数えます。
この動作を5〜10回繰り返しましょう。
ティップ
舌の先を尖らせる力と、その感覚を強化することが目的です。トレーニング中、舌が丸まったりしないように舌の先でしっかりと押すことを意識しましょう。
スティックを口の前に垂直に持ち、舌先を尖らせて前に突き出してスティックに触れ、舌先とスティックをお互いに押し合うように3秒間キープします。その後、スティックを離して舌の力を抜き、口唇を閉じて休憩します。
この動作を5~10回繰り返します。
ポッピング
舌全体を口蓋に押し付ける力とその感覚を養うと同時に、舌小帯(舌の裏の筋肉)をストレッチすることが目的です。
舌の先をスポット(舌の正しい位置)に当て、舌全体を口蓋に向かって引き上げます。口を大きく開け、舌小帯(舌の裏側にある真ん中のスジ)をできる限り伸ばすように意識しましょう。この状態で、舌で口蓋を弾くようにポンという音を立てます。
この動作を10~15回繰り返します。
MFT(口腔筋機能療法)の費用
MFT(口腔筋機能療法)の費用は、通院する歯科医院や受けるトレーニングの内容によって異なります。一般的には1回3,000円〜1万円程度が目安となります。トレーニングの費用に加え、検査や診断にかかる追加料金が発生する場合もあるでしょう。
MFTは基本的に保険適用外の自由診療ですが、口腔機能発達不全症と診断された場合には保険が適用されることがあります。事前に歯科医師に相談してみましょう。
まとめ
MFT(口腔筋機能療法)は、舌や口腔周りの筋肉を正しく使うトレーニング法です。これにより、歯並びや咀嚼、嚥下、発音の改善が期待できます。
MFTで舌の位置を正しく保ちつつ、矯正治療と併用することで治療の効果を高めて後戻りを防げるでしょう。費用は1回3,000円〜1万円程度で、基本的には保険適用外ですが特定の症状により保険が適用されることもあります。
MFTを検討されている方は、愛知県豊橋市にある三宅歯科医院にお気軽にご相談ください。
当院では、予防歯科とマウスピース矯正に力を入れています。虫歯・歯周病治療やホワイトニング、入れ歯治療、インプラント治療なども行っています。当院のホームページはこちら、WEB予約も受け付けておりますのでご覧ください。